− 夏色模様 −
「じゃあねー……。
あたしがいっくんの言うことを1つ聞いてあげるねっ」
少し、いっくんの顔が真剣そう顔つきになったのは……。 気のせい、だろうか?
「約束だからなっ」
別にいいよーだっ。
いっくんが成功するはずなんて、無いから。
ボールを持ったいっくんが、立った。
…… スリーポイントシュートの位置になぜか、立っている。
「そんな後ろからやるの?」
入ったら、スゴイと思う。
“外す”と分かっていながらも、つい声を掛けてしまった。
「入れてやるし」
その自信に満ちた、言い方。
いっくんのこの“余裕”を見せられる瞬間は、どうも良くないことが起きる。
そして、ほら……。 やっぱりだ。
いっくんの手からボールが放れた。