− 夏色模様 −
1日目⇒ 狼さん。
“あっ、まお。 夜は俺の部屋においで。 いいもんあげるわ”
なんて、言われたので……。
「いっくん……」
いっくんの部屋の前にやって来た。
いっくんの部屋は、部員と先生がいる階だから、こっそりやって来た。
ばれたら問題だけど。
“俺の部屋に勉強しに来たって言え”
…… と、なぜか合宿と全く関係ないことを言うように言われた。
「まおちゃん、マジで来たの?」
「陽太くん!」
いっくんの部屋をノックしたはずなのに、出てきたのは“陽太くん”
あれっ? 部屋を間違えた?
「おっ、来たな……」
「はぁー。 あんまり目立つことするなよ」
陽太くんが呆れるように頭を抱えている。
「まお、入りな」
「うん」
あたしと入れ違うように陽太くんがいっくんの部屋を出て行った。