− 夏色模様 −




「あー、そんな泣きそうな顔するな」


「泣かないもん」


泣きたいわけじゃない。 ただ、悲しいだけだよ。

あたしたちに関係あることなら、ちゃんと話して欲しいだけ。


いっくんたちだけが、知っているのが嫌なの……。


「悪かたって、まお」


いっくんがあたしに近づいて、頭を撫でてくれる。


「でもさ、まお。 俺らの気持ちもわかってくれるか?」


いっくんたちの気持ち?


「女の子が男だらけのとこの4日間もいて、無事でいられるか不安なんだよ」


「男って……。 部員のひとたちは優しいよ」


みんなあたしに優しくしてくれた。

重い荷物だって、もってくれたし……。 自己紹介までやってくれた。


「まおがそう思っている時点で危ない」


危ないなんて……。 思わないんだけどな。




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