− 夏色模様 −




「いいか、まお? 男はみんな“狼”なんだ。 よく聞くだろ?」


うん、そうやって聞く。

でも、それって今は関係無いと思うけど?


「男は隙があれはいつだって狙っているわけ。 だから、まお。 むやみに、男の部屋に行くなよ」


釘を刺されているけど……。


「じゃあ、あたしって今危ない?」


「どーして?」


「目の前に危険な狼がいるから」


目の前のいっくんを指さす。


男の部屋に行ってはイケない……。 なら、いっくんの部屋も危ないよね。


陽太くんなら、優しそうだからいいけど。



「そうだなー。 俺も男だから、狼だな」


「でしょ?」


いっくんも狼……。 そう分かっていながらも、いっくんの胸に擦り寄る。


いっくんは狼でも……。

優しい、優しい狼さん。


だから、安心してくっつくことが出来る。




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