− 夏色模様 −

1日目⇒ 寝顔。





「お前、なんかネコみたいだな」


「なんで?」


「なんと無くだよ」


それだけ言って、いっくんは頭を何度も優しく撫でてくれる。


「今夜、月が綺麗だぞ?」


「月?」


「そっ、見てみれば?」


いっくんから放れて、窓に近づいた。


月が夜空を照らしている。

綺麗に輝く月に、目が奪われる。


「綺麗だねー、いっくん」


「…… ん、あぁ」


いっくん?

振り向いてみたら、いっくんが布団の上で横になっている。


もしかして、眠いのかな? バスケで疲れた?


「眠い?」


「別に、大丈夫だし」


――― あっ! いいこと、思いついた。


いっくんに近づいて、布団から枕を退かす。

枕のあった位置に座って、ヒザを叩いた。


「いっくん!」


「…… ヒザ枕?」


「うんっ」




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