試合結果は見えていた
6月下旬。
外で降りしきる雨は、梅雨真っ只中。
こんな風に思いっきり泣けたなら、どんなにいいだろう。
そんなことをふと窓を見ながら考えていると、急に・・・
「ワァ!」と後ろからアタシの肩の上に両手が乗っかった。
一瞬びくついたけど、こんなことをこの家でする人間は一人しかいない。
「友紀~何度もこの手に引っ掛かると思うなー!」
後ろを振り向く前に、高3の妹、友紀がこっちに前のめりになって重心をかけてくる。
「つまんないのぉ~また新しいの考えなきゃ!」
18になってもまだまだ子供の妹は、いたずら好きでよくアタシをターゲットにしてくる。からかい甲斐があるのか、いつまで経ってもやめない。
まぁそんな妹も結構可愛げがあるから憎めない。
「ねぇ、明日行くんだよね?」
スッと肩に圧し掛かっていた友紀の重みが軽くなったと思ったら、ふいに尋ねられた。
明日は、奴の結婚式だ。
「ん?もちろん、行くよ。どしたの急に?」
そう言うと、友紀はアタシが座っていたソファの隣に腰かけて、なんだかいつものふわふわした雰囲気とは違う、真剣な眼差しこっちに向ける彼女。
「・・・いいのかなぁって思って。」
あまりにも唐突に予想外な一言で、思わずゴクリと唾を飲み込んでしまった。
「...なにが?」
こんな切り返しをして、この場の空気から逃れようとしても、そんなこと出来っこないのは解りきっていた。
「何にもしないままで、ホントにいいの?」
有無を言わさない妹の迫力に、たじろいでしまう。
何も言えないままでいると...
「明日になる前に、伝えなくていいの?」
友紀の真っ直ぐな眼差しは、決して冗談で誤魔化せないものだった。