短編■ 切り札もどき
とある材料を混ぜるだけのレトルト的な食材で、工作しようが、
焦げ目を下にして、上から色の濃いソースをかけ見た目を捏造しようが、
ぼちぼちな恋愛経験の学生男子は、まだ魔法にかかってくれます。
かたかなガッツリご飯をワンプレートに、
なにかとトッピングをしてカフェ風に仕上げれば、
エセでも、もどきでも、真似ごとでも、カブレでも、
きっと彼は魔法にかかってくれます。
いいえ、無邪気な人は魔法にかかったフリをしてくれるのです。
『本を見て頑張った』
『お店屋さんのマネして頑張った』
堂々とネタバラシすることが、素直な魔法のポイントかもしれません。
(『頑張ったアピールをし過ぎたらいけないけど』、と前置きしておけばなお良いかもしれない)
――頑張ったおままごと料理も、喜んでくれます。
ついでに恋の魔法もかけちゃえば、乙女な料理は完璧です。
〓おわり〓