短編■ 切り札もどき
料理。
失敗する時はありえない味で驚愕するし、美味しくできたら自画自賛する。
私が学生だった頃は実家暮らしだったので、
高校までは、趣味で気ままにしか料理はしたことがなかった。
(バレンタインとか記念日とか誕生日とかだけ)
『あんたは恋してる時って、やたらキッチンに立つよね』
――と、よく母に言われた。…若干厭味っぽく。
(私は母と恋バナなんてしないので、何故バレるのか疑問だったが、
そりゃあ晩御飯の手伝いもしない娘が、自らキッチンに立つなら気付くだろう)
なかなか女の子らしい部分もあるらしく、
そういえば料理が下手なので恋をしている時は練習をしていた。
――――なんて、淡いお話ではありません。
素人のガールズトークの流れで、恋愛に有効な料理のネタ話を始めます。