【短編】〜様々な小さき恋物語〜
プルルルル、プルルルル……






ガチャ



「はぁ…誰よ。」



「あ、紗季?俺だ!常陸拓哉【ヒタチタクヤ】!」



「拓哉……?」



拓哉とは、いわゆる悪友。私と翔が付き合う前から私達を応援してくれて、いつもたくさんの相談にのってくれた。



例えば恋愛。



私が翔についてアレコレ悩んでいたとき、拓哉はいつも


“あいつを、信じてやれよ。”



そう言ってくれた………



例えば進路。



将来の選択を迫られた高校三年の秋、私は迷いに迷い、混乱していた。そんな時に拓哉は



“お前はお前らしく生きればいい。そうだろ?”



こう言ってくれた……



そして



翔が死んでしまった時、



私が泣きやむまでずっと



側にいてくれた──



とても



とても



優しい人────



私の



大切な人の



一人───




そんな拓哉が、何故今頃電話をよこしたのだろう…?



「おぅ!久しぶりだな!ってそうじゃなくてだなιお前、翔の家行ったか?」



翔の……い、え………?



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