【短編】〜様々な小さき恋物語〜
「ま、まだ…だけど…」
そう、私は辛くてまだ一度も翔の家へ行った事がない。
「ハァ……んな事だろーと思ったぜ……まぁいい、今から翔の家行け。」
「はぁ?何でまた今すぐなの「いいから行け。いいな?」
拓哉のこんな低い声、初めて聞いた…………
「う、うん」
「よし!じゃ、またな。」
「あ、うん…またね。」
またね、か……翔との最後の会話もそうだったな……
翔の家……行ってみよう。
ピンポーン…
「はい。」
ドアから出て来たのは翔のお母さんらしき人だった。
「あ、あの…坂地翔くんの彼女で羽山紗季と申します。常陸拓哉くんに言われて…来ました。伺うのが本当に遅くなって申し訳ありませんでした…。」
「あぁ!あなたが紗季ちゃんね!ささっ上がって!渡したいモノがあるの。」
渡したいモノ………?