【短編】〜様々な小さき恋物語〜
私は翔のお母さんに翔が生前使っていた自室へと案内された。その部屋は、翔らしい……懐かしい、翔の感じで溢れていた。
翔のお母さんはその部屋にある机の引き出しから何かを出して、私に差し出した。
「これよ……。私からで、ごめんなさいね…。」
悲しそうに、切なそうに…そして申し訳なさそうに翔のお母さんは“何か”を差し出した。
それは
私宛ての
エンゲージリングだった──
「っ…ふっ……ぅ…」
涙が、勝手に流れた──
神様──……
愛しい人や大切な人は
失ってから初めて
その存在の大きさに
気付くのですね──?
翔、
素敵な指輪を
ありがとう────
私、貴方の分も
生きるから
安心して?
それが
世界一愛しい、
貴方への
精一杯で最高の
愛情表現だから────