夜獣3-Sleeping Land-
席に座って待つと、黒のフォーマルスーツを着たウェイトレスが水を持ってくる。

「ご注文お決まりでしたら、お呼び下さい」

ウェイトレスが他の客に呼ばれ、他のテーブルへと向っていく。

「メニューをどうぞ」

サバイバーの失敗を活かしているのか、僕にメニューを渡そうとする。

「僕はいい」

「もう、決まったんですか?」

珍しく、驚きの表情を見せている。

「ああ」

「でも、まだ何も見てませんよ?」

「店の中にもメニュー表はある」

「そうですか」

渚も初めて来るだけあって、メニューをしっかり見ている。

僕も店の中にあるメニュー表を見て、商品を決めた。

変に余計な注文をして、腹を膨らませすぎると後の行動に支障が出るので、安い物にしている。

渚は、じっくりと選んでいるようだ。

「あ、すいません。お待たせしました」

メニューを置いて、ウェイトレスを呼んだ。

「トキメキ・抹茶パフェを」

渚は抹茶が好きらしい。

食後のデザートを食べる際には、常に抹茶を選んでいる。

長く選んで、妥当なところに落ち着いた。

「ハートフル・サンデー」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

今思えば、妙な名前の商品が多い。

サバイバーもそうだったが、全国共通なのか?

「楽しみですね」

相当、来たかったのかと思うほどの笑顔だ。

僕は商品が来るまで店の中を見回すと、見覚えのある二人がいた。

桜子と真理という女だ。

僕達には気付いておらず、笑顔で話しをしていた。
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