夜獣3-Sleeping Land-
「あれは、柏木さんですね」

パフェが届いた後、僕の視線を追ったのか、渚も二人の存在に気付いた。

「もう一人は、松任谷真理さんですね」

「普通の人間、か」

アキラの件もある故に、桜子と関わっている者も能力者である可能性も捨てきれない。

「どう、でしょうか」

パフェを食べる手を止めてしまう。

「どういう事だ?」

「ノイズがかかって、判別しにくて」

「何故、言わなかった?」

「申し訳、ありません」

渚は本調子ではない。

だから、街中に能力者がいるとしても、いないと答えてしまっていたのか。

嘘を付いた後ろめたさから、パフェを食べようとはしない。

「ノイズがかかっているという事は、完全に解らないわけじゃない」

「はい」

「どうでしょうかと言ったな?」

「はい」

「もう一度、集中して見てみろ」

渚は、言われたとおりに松任谷の席を見つめる。

「おい」

「え、あ、あれ」

集中しすぎたのか、渚の鼻から血が流れた。

「トイレに行って来い」

「はい」

渚は傍にある紙をいくつか持って、鼻を押さえながらトイレに駆け込んだ。
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