夜獣3-Sleeping Land-
通話が切れる。

僕はパートナーの生存を確かめるために歩き始める。

マンションの中に入った渚の感覚が強くなっていく。

何故、渚だけを確認できるのかは解らない。

階段を上がり続け辿り着いたのは、五階の奥にある扉。

紅目になり、扉の前に白き空気を確認する。

一度殴れば、扉がへこむ。

二度殴れば、扉がへしゃげる。

三度殴れば、扉が開く。

中へ入ると、熱気に満ちていた。

廊下の先から、上半身裸の男が刃物を持って出てくる。

「望んで人殺しをした僕はお前等と同じく人間ではない」

僕は男に向って歩いていく。

「狂気に魅入られた奴等の末路は、法によって裁かれる物であってはならない」

ナイフを半身になって避け、上段蹴りを決める。

その後、空気爆弾で廊下の先の扉ごと吹っ飛ばす。

扉の向こうには、十畳程度ある部屋に横たわった裸体の渚に数人の男がいる。

「解る、わけがない」

電話先の声の男が焦っているのか、何か武器を探している。

「渚」

「はい」

意識はあるが、気力を使い果たしたような声を上げた。

「後の処理は、任せた」

襲ってくる男達の腕を折り、内臓を潰し、一人を除いて虫の息となる。
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