夜獣3-Sleeping Land-
「ご迷惑をおかけして、すいません」

服を握り締めながら、謝る。

「何度も言わせるな。必要ないといっただろう」

渚にとってはいい迷惑だっただろう。

「今は何も言うな」

部屋の中を見渡すと、首輪やら注射器が転がっている。

渚に何をするつもりだったのか安易に想像が付く。

すでにヤバイ薬を使った後なのかもしれない。

倒れている男達を睨みつけると、怯えた眼で顔をそらした。

「渚!」

背後に立っていたのは、相場だ。

「怪我はないか?」

「相場さん、ご心配おかけしました」

「いいんだ。さ、帰ろう」

「いえ、まだ、私の仕事があります」

部屋の中に転がっている電話を拾い上げ、どこかに電話し始めた。

「後処理をよろしくお願いします」

証拠隠滅するために、警察か別の組織に電話をしたのかもしれない。

通話を切ると、気を失い電話を落とした。

「お前のせいだ」

「何とでもいえ」

相場は渚を背負うと部屋から出て行く。

僕は、息も絶え絶えな男の前に座り、襟首を掴んで持ち上げる。

「お前等の意志でやったのか?それとも、誰かに頼まれたのか?」

男は自分の痛みに必死なのか、怯えているのか、上手く声を出せないようだ。
< 27 / 118 >

この作品をシェア

pagetop