夜獣3-Sleeping Land-
「何故、私がお前などの協力をしなければならない?」

怒りを露にした顔を見せた。

「よく考えてから物を言え。無意味に渚を縛ると思うのか?」

「何?」

相場は床に落ちている血の付いたナイフを発見する。

「それは渚が僕を襲ってきた時に使った物だ」

「お前の狂言だ」

目の前の状況を見ても、信用はしない。

「これを見てもか?」

ナイフで切れた掌を見せる。

「自分の掌を傷つける行為に何の意味がある?」

「耕一さん、もう、いいんです」

渚が僕の行為を阻止しようと、言葉を発した。

「相場さん、耕一さんは過去の記憶を思い出して、少し気が動転してるだけなんです」

相場がどちらを優先させるかは、わかっている。

「相場、こっちに来い」

相場が動く前に、僕が動くしかない。

「何を」

ナイフを拾い上げ、相場の腕を引っ張り廊下へと連れ出す。

「離せ!」

相場が僕の腕を振りほどく。

「相場、一つ言っておく。縄を解けば、渚は永遠に牢獄の中に住まう事になる」

「お前の言っている事の意味が解らない!」

相場が僕の横を通り過ぎようとしたが、襟首を掴み壁へと押し付ける。

「聞け!渚を元の状態に戻す方法を取れるのは、僕とお前しかいない」

僕の真剣な眼差しを向けると、相場が動きを止める。
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