夜獣3-Sleeping Land-
「離せ」

冷静な瞳となった相場を確認し、胸倉の手を離した。

「お前のやり方は気品を感じられない」

「話を聞くようになれば必要ない」

「ふん」

相場が服を整える。

「私のいない間に問題が起こしたかと思えば、また事をややこしくしたな」

「事を収めればいいだけの話だ」

「私の力を借りようとする者の台詞じゃない」

「気遣いなど必要ない」

露骨な顔を見せながらも、聞く姿勢は崩さない。

「何が起こっている?」

僕は今までの事実を話した。

「そうか」

静かに頷くと、顎に手を当てて考える。

「催眠、か」

「どこでスイッチが切れるのかは、解らない」

途中で切れていたという事は、不完全な物なのか。

「もし、能力じゃなければどうするつもりだ?」

「何?」

「能力者だと断定しているようだが、本当の催眠術だとしたらどうするのだと聞いている」

「罪は変わらない」

「そういう事を言っているんじゃない。殺したところで、催眠術が解けなければどうするという事だ」
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