夜獣3-Sleeping Land-
「ならば捕まえればいい」

「お前のような奴が一番に、催眠術にかけられて気付かない内に使われていそうだな」

失望の眼差しは変わらない。

「お前の殺して催眠術を解くという幼稚な案は二の次だ。私の案で方法を聞きだす」

「何?」

方法を聞きだすだと?

「闘わずのやり方ならある」

「言え」

僕の襟首を掴み、小声で話す。

「催眠術の重ねがけだ」

「可能なのか?」

「可能だ。だが、それで元に戻るというわけじゃない。催眠術を解く方法はかけた本人ありき。重ねがけではまだ本人の意思ではないという事だ」

「お前が行うのか?」

「私では不可能だ」

「他に、いるのか?」

「私の従妹に一人いる。最近、能力が覚醒したらしく、渚は従妹が何の能力かは知らない」

重ねがけとなれば、利用するのは渚という事になる。

「私の案は、あくまで人が出来る催眠術だった場合の事を言っている。能力者の場合、殺して済む場合と、能力を使用して解かなければならない場合がある」

「賭け、か」

「だが、無意味に相手の前に言って、催眠術をかけられるよりはいい」

「渚を使うのだろう?」

「本来ならば、お前の責任だ。だが、今は手段を選んでいられない」

「何故だ?」
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