夜獣3-Sleeping Land-
部屋の中に入り、裸のままの渚の様子を伺う。

「耕一さん、解除してください」

抵抗をしているが、縄の解除は出来ないようだ。

僕は縄の解除をするつもりはなく、傍にある椅子に座る。

脳に潜んだ呪縛の解除は、相場の知り合いにかかっている。

「少し、黙っていろ」

「何故、そうまでして、私を縛り付けるのですか?」

「黙っていろ」

「私を縛るのは、あなたが望んでいるからではないのですか?」

僕が渚の事を望んでいる?

否定はしない。

だが、利益を生み出す者としてだ。

「ラヴィヌス」

「何でしょう?」

渚の表情は変わらない。

以前、僕が名前で呼んだ時の表情は本物か?

ノイズがかかっていたのは、催眠がかかっていたからか?

不調であるというのは、本来の自分を取り戻せていなかったからか?

渚の事は解らない。

「お前の問いに答えてやる」

「はい」

「僕はお前を欲している。だから、縛る」

夕子の復讐のためだ。

嘘でも吐いてやる。

「拒もうとも、逃れようとも、お前が結果を出すように仕向ける」

でも。

本当に、それで納得させるつもりか?

本当に、それは嘘なのか?
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