夜獣3-Sleeping Land-
「二度目はない」

爆弾の範囲内。

女が力を発する前に、腕を突き出す。

しかし、女の前に山女が出ると、拳前で掌を円を描くように廻す。

爆弾も拳の勢いもかき消された。

「ぐ」

拳を止められた事により、体の限界が来る。

発火のダメージは、体に停止をかける程のものだった。

「怜さん、あなたは少し冷静さを身につけねばなりませんわ」

「ち、悪かったよ」

バツの悪そうな顔をしながらも、腕を下げた。

「耕一さん、あなたは怪我を負ってしまいました。少し休養をとるべきですわ」

山女はそう言いながら、二人が僕の元を去っていく。

「くそ」

立ち上がる事が出来ない。

「耕一、さん?」

自分の家の近くなので、ワンピース姿の渚に出会うのもおかしくはない。

「どうしたんですか!?」

慌てて、僕の元へと寄ってくる。

「どうもしていない」

「でも、凄い火傷です」

「構うな。僕は奴等を叩き潰す」

凶悪な宇宙人など、もはや関係はない。

敵は、つるんでいる能力者達だ。

「闘う事を止めたりはしません。でも、今すぐでは駄目です」

渚が肩を貸した事で、僕は立ち上がることが出来た。
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