夜獣3-Sleeping Land-
家の中で、僕は寝かされる。

痛みが、全身を覆っているようだ。

「相場さんを呼びます」

携帯をかけようとする渚の腕を掴む。

「必要ない」

「それでは、耕一さんが」

「呼んだ所で時間がかかるのは間違いない、お前がやれ」

「なら、病院に任せたほうが無難かと思います」

自分では治療が出来ない状態だ。

別の土地にまできて、相場に借りを作るつもりもない。

ましてや、病院などに任せれば、面倒ごとが増えるだけだ。

「お前の何千という生きてきた年月は、無駄に過ごしてきた時間か?」

苦痛に苛まれながらも、復讐の念は消える事はなし。

「よろしいのですか?」

「僕は、お前に任せている」

「少しだけ、お待ちください」

外に出る準備を整え、急いで部屋を出て行く。

「はあ、はあ」

体が燃え盛るように熱く、痛い。

非常に、厄介だ。

次の戦いでまともに遣り合えるかどうか。

数分後に、渚が荷物を抱えて帰ってくる。

「この部屋では心配ですが、治療します」

渚が髪をくくり、手荷物から治療の道具を取り出していく。

「必ず、耕一さんを闘えるように、してさしあげますから」

真剣な眼差しで見つめながらも、僕に治療を施して行った。
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