夜獣3-Sleeping Land-
一時間程度した頃には、全身に包帯が巻かれてある。

「はあ、はあ」

しかし、痛みが引くことはない。

「耕一さん」

「問題、ない」

「はい」

渚の顔は曇ったままだ。

「これで、いい。お前は、お前の仕事をした。それで、いい」

「はい」

「必ず、奴等を、つぶしに、いく」

「今は、ゆっくり、休んでください」

僕は目を閉じ、眠りの奥へと入る。

夢の中で、崩れた夕子、全身血だらけの海江田、血を吐いたの甘粕を見る。

僕に、罪の意識を、呼び覚まそうと、うめいている。

僕に触れ、自分の過ちを再認識させようとしている。

しかし、悩まされる事はない。

すでに、僕の道は決まっている。

復讐の二文字しかない。

「夕子」

崩れた夕子の手を掴む。

「必ず、お前の仇を討つ。例え、お前が拒もうとも、僕はやる」

夕子の表情は変わらないままだ。

「安心しろ。きっと、僕も」

そこで、夢が終わる。

目を覚ましても、痛みは引かない。

「気が、つかれましたか?」

渚は哀しみの瞳で僕を見つめていた。

「ああ」

「戦いに、行くのですか?」

「ああ」

起き上がると、体が揺れる。
< 75 / 118 >

この作品をシェア

pagetop