夜獣3-Sleeping Land-
「ぐ、あ」

致命傷には至らないが、ダメージは大きい。

「兄さん、ほんま、ようやるなあ」

男のふら付いている。

「ぐ」

倒れた後に、立てる力がない。

しかし、男の戦闘態勢は変わらない。

「兄さん、動けるか?」

「どうでもいい」

「いいわけあれへん。早く、立たんかい!」

急に顔色と声色が変わった。

その理由は僕にもわかる。

もう一人、気配が近づいている。

重い足音を引き連れながら、ゆっくりと近づいてくる。

「勝負はまた今度や!」

僕に近づいてくる。

力を使って、男を倒すか。

だが、もう一人いる。

男の様子からすれば、男の仲間ではないだろう。

だとすれば、凶悪な異星人か。

アキラと闘った以前のように、時間がない。

復讐を成す事が第一だとすれば、今は男を倒すべきではない。

「ほな、行くで」

男は僕を抱え上げる。

「必要のない、事だ」

「あんさんの力は必要やといったやろ」

走り始めるが、男の足が覚束ない。
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