夜獣3-Sleeping Land-
「あんさんの、力は、やっぱすごいわ」

長く走っていないのにも関わらず、息が上がっている。

「下らない。さっさと置いていけ」

「後ろのあいつは俺等だけじゃあかん。山女さんの能力があっても、どんな事が起こるかわからへん」

「ち」

背後を見ると、見覚えのある姿だった。

「ストーカー女、か」

女が白目を向きながら、歩いてくる。

完全に、僕達を狙っている。

「山女さんが言うには、あいつはどっかの星の王や。王は人を石にして食べる。そして、食べた奴の姿を借りる事が出来る」

ストーカー女は、餌食になったという事か。

「く」

僕は力を振り絞り、男のわき腹に肘鉄を入れる。

すると、男が僕を離した。

「何、すんねん」

「下らないと、言っただろう」

僕は、地面へと倒れ込む。

「僕はお前に敗れた、それだけの話だ」

男が銃を抜き出し、王に向って打ちまくる。

「あんさんのポテンシャルは舐められへん。それだけは、確かや」

「お前は、馬鹿か」

今の状態では両方が食われるだけだ。

ビームは王の動きを一瞬だけ止める。

しかし、射抜く事はなく、ダメージも薄い。

王自身も、石のごとく硬い体を持っているわけか。

「やっぱ、銃だけの攻撃力じゃ、たらへん」
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