夜獣3-Sleeping Land-
王は防御する事もなく、胸で空気が爆ぜる。

威力は、ある。

そのおかげか、王は押され気味でニ、三歩下がる。

力の抜けた僕は、前のめりに転倒した。

「まだや」

男は電話をしながら、空気が爆発した場所に撃ち続ける。

ダメージ追加分で、更に後方へと下がった。。

だが、王は倒れない。

遠距離攻撃を出来ないところ、運があるといっていい。

「何分程度だ?」

「早くて、五分」

「余力がある限り打て」

渚に携帯で電話をかける。

『はい?』

「返事は『はい』だけだ。いいか?今すぐ、弓を持って傍にある道路へ出て来い」

『はい』

通話を切り、息を吐いた。

もはや、身体を動かせはしない。

火傷に胸に開いた穴はダメージが大きすぎる。

「渚さん、呼んだんか」

「余計な事を言っている暇があるなら、打て」

「手厳しいやっちゃな」

体勢を立て直した王は、再び進み始める。

「弱点は、ないのか」

「教えてもらってへん」

「ち」

どうする?

腕ぐらいは、動く。

再度、無理矢理にでも打ち込むしかないのか。
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