夜獣3-Sleeping Land-
刹那、矢が放たれた。

一直線に向う先は、足。

ビームも効かなかったのに、効力があるのかどうか。

そう思っていたが、見事に刺さる。

「足の関節部に刺さったのか」

一瞬だが、王の動きが止まった。

今しかない。

白の空気の道に意識を集中させた。

縦、横、奥行き。

空間を把握する。

「理解、した」

動いている標的では、まだ出来ない。

だが、止まっている的ならば可能だ。

僕が標的としたのは心臓。

「食らえ」

開いた手は空気の存在する心臓を掴む。

しかし、途中で握りが止まった。

攻撃を受けて、僕の力が弱体化したせいなのか。

それとも、王の心臓が極端に固いせいなのか。

だが、死んではいないにしろ、完全に動きを止められたのは確かだ。

「はあ、はあ」

握っている間も、意識は集中したまま。

いつまで続くか、わからない。

「孝二!」

「兄貴!」

後ろから駆けてきたのは、ファミレスで見かけた男と怜という女だ。

「山女さんはどないした?」

「今は、連絡がとれないんだ」

「そないか、今は撤退するで!」
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