夜獣3-Sleeping Land-
先日のような夢は見ない。

ただ、ただ、ゆっくりと時間が流れ、目を覚ます。

僕は、自分のアパートの部屋の布団で眠っていたようだ。

不思議な事に痛みは、完全に消えていた。

何故だ。

あれだけの攻撃を食らっているのなら、痛みがあってもおかしくはない。

「ゴキブリのような生命力だ」

背を起こす。

そこにいたのは、セーターにジーパンの相場と渚だ。

「渚、お前、呼んだのか?」

「約束を破って、ごめんなさい。応急手当はしましたが、私だけの力ではあなたを全て治す事は出来きませんでした。だから、相場さんに来ていただきました」

渚は頭を下げる。

「渚が謝る事はない。医療に携わってはいないとはいえ、上手く治療をしていた」

起きてから、胸糞が悪くなる一方だ。

だが、力は戻った。

「やはり、お前に渚を預けるのは間違いだ」

「どうでもいい」

闘えるのならばな。

相場の表情は不機嫌さを増している。

「相場さん、ありがとうございます。でも、いいんです。確かに、耕一さんが闘う事に心配はします。でも、それでも、私は幸せ、なんです」

「渚は、本当に一途な人だ。お前は、その優しさに甘えている」

「頼んだわけじゃない」

「お前は」

「だが、渚が傍にいる事は僕にとってプラスになっている。お前の言う甘えだろうが何だろうが、渚は傍においておく」

相場に最後まで言わせずに、言葉を遮る。

「耕一さん、ありがとうございます」
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