夜獣3-Sleeping Land-
「渚が僕の敵に回るというのならば、牙を用いる」

「お前という奴は」

食って掛かろうとしてきたところで、渚が相場を止めた。

「私が、自分の意思である以上は、あなたを裏切ったりはしません」

笑顔を作る。

「ふん」

相場の不機嫌さは変わらない。

しかし、王に対しての対策を立てなければならない。

自分一人では決して勝つことの出来ない相手だ。

今の最強の技でさえ、王の動きを止める程度でしかない。

「耕一さんの力を決して侮ってはいません。しかし、今の状態で王に戦いを挑むのは少々難しいかと思います」

自分自身でも分かっている。

強くなるためにはどんな相手でも一人で倒さなければならない。

内臓ガ強く、表面的にも強い。

僕の空気爆弾が通じない相手だ。

無意味に突っ込む事がどれだけ無意味な結果を招くか。

まだ拳を叩き込んでないにしろ、近づけば簡単に石にされてしまう。

自分の力を信じたところで、限界もある。

相手は人間じゃない。

奴等の力を利用するしか方法はないのか。

「それで、王はどうしているか分かるか?」

「近づけば気配で分かると思います」

今は解らないという事か。

あの歩き方からして、そう遠くにはいけないはずだ。
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