腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?
純はひとつ大きく息を吐き、額から血をだらだら流しながら亜紀へと振り返った。ギャア!と悲鳴を上げる亜紀の心境は想像に難くないだろう。


「……ごめん亜紀ちゃん。ちょっと急な用事が入っちゃって……また今度でいい?」

「う、ううううん!全然構わないよ!だから早く病院に……」

「ほんとごめん、ありがとう!今度奢るからね!じゃあバイバイ!」

「だから病院んんん!!」


既に駆け出していた純の背中は小さくなって消え、亜紀の必死の呼び掛けだけが社内に虚しく響いた。












街中を全力疾走しながら、純は先ほど届いたメールを思い浮かべていた。差出人は無論、あの男からであった。


……………

差出:〇〇〇〇〇@〇〇.ne.jp
件名:天宮泉流
本文
やあ純ちゃん。仕事終わったようだね。お疲れ様。さっそくだけど、昨日の喫茶店に6時までに来て。もし1分でも遅れたら君の個人情報をネット上に流出しちゃうから(はぁと)

ちなみにこれが僕のアドレス。電話番号は080-〇〇〇〇-〇〇〇〇ね。どっちもちゃんと登録しておくんだよ。

by泉流

……………














プライバシーってなんだっけ?
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