腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?
何とか時間内に辿り着いた喫茶店の前。息を切らして睨み付けた先にいた男は、美人なお姉さま方に逆ナンされている最中だった。


(あの野郎……)


こっちの気も知らないで!

純は怒りに身を任せ、ズカズカと大股で彼女らの輪に入った。


「ちょっと天宮さん!人を呼びつけておいて何ハーレム作ってんですか!てゆ―か、わたしのアドレスをいつの間に盗んだんです!?」

「な、何よあんたは…!」


純の鬼気迫る勢いに気圧されていた女性たちの中の一人が、ハッと我に返り、慌てて純に文句を言った。

が、しかし、


「盗むとは人聞き悪いな。調べるのに結構苦労したんだよ?君があまりにも平凡すぎたせいで、情報源の少ないこと少ないこと。僕の手をわずらわせるなんて大した度胸だよ」

「んな度胸を発揮した覚えはありません!全てにおいてあなたが悪いじゃないですか!」

「む、無視してんじゃないわよあんた!」


完全に存在をスルーされた女が純の襟首を掴み上げた。

だが純は全く動した様子はなく、むしろ不思議そうに彼女の顔を見つめた。なんだ、まだいたのか。といった風に。
< 16 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop