腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?







「ちょっとそこのお姉さん」









街中で声を掛けられたのがまさか自分とは思わず、歩む足を止めずにいると、次の瞬間、ぐんっと後ろから腕を引かれた。


「のわ!?」


なんだなんだ!?

思わず狼狽して振り返ると、そこにはイケメン俳優も裸足で逃げ出したくなるような美青年がいた。

途端、サーっと純の顔から血の気が引く。なぜならば、彼女は顔の良い人間を最も苦手としていた。

普通をこよなく愛す彼女にとって、彼らほど厄介な人種はいないと思っている。有り体に言えば、彼らの周りの人間が、だ。

高校の時にも、かっこいいと騒がれてた男子がいた。その男を狙って牽制しあう女の子たちのなんと恐ろしいことか。思い出しただけでも目眩を感じる。

つまり、純の中では《顔が良い=トラブルメーカー》の図式が成り立っているのだ。
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