腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?









――ここはとある喫茶店。





「ようやく話を聞いてくれる気になって嬉しいよ」

「……脅しといてよく言いますよ」


向かいに座る男に軽く殺意を覚える純。

根負けして連れてこられた喫茶店。そこでまず何でも好きな物を頼んで良いと言われたので、意趣返しのつもりでメニューの端から端までなんて言ったら、彼が本当に注文しそうになって慌てて止めに入った。こいつ、さては金持ちだな。


「で、話って何ですか?」


こうなったらさっさと話とやらを聞いて別れるに限る。

注文したコーヒーを口に含みながら催促すると、彼も勿体ぶるつもりはないのか、「じゃあ単刀直入に言うね」と、すぐに本題に入った。






「君、僕の助手になってよ」






ブフー!

純は盛大にコーヒーを噴いた。


「うわっ、きったないなぁ。君、本当に女の子?」

「ゴホッ…す、すみませ…」


いやいや、何謝ろうとしてんだ自分。そもそも、コーヒーを噴く羽目になったのはこの男のせいじゃないか!
< 6 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop