腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?
――ここはとある喫茶店。
「ようやく話を聞いてくれる気になって嬉しいよ」
「……脅しといてよく言いますよ」
向かいに座る男に軽く殺意を覚える純。
根負けして連れてこられた喫茶店。そこでまず何でも好きな物を頼んで良いと言われたので、意趣返しのつもりでメニューの端から端までなんて言ったら、彼が本当に注文しそうになって慌てて止めに入った。こいつ、さては金持ちだな。
「で、話って何ですか?」
こうなったらさっさと話とやらを聞いて別れるに限る。
注文したコーヒーを口に含みながら催促すると、彼も勿体ぶるつもりはないのか、「じゃあ単刀直入に言うね」と、すぐに本題に入った。
「君、僕の助手になってよ」
ブフー!
純は盛大にコーヒーを噴いた。
「うわっ、きったないなぁ。君、本当に女の子?」
「ゴホッ…す、すみませ…」
いやいや、何謝ろうとしてんだ自分。そもそも、コーヒーを噴く羽目になったのはこの男のせいじゃないか!