腐っても探偵。されども探偵。そもそも探偵ってなんだ?
純は深い溜め息を吐き、「だいたい」と続けた。


「一口に助手って言われても、わたしは何の役にも立ちませんよ?そもそも、何させる気でいるんですか?」

「そんなことはない。君は役に立つよ。例えば、犯人を捕まえる時の餌になって貰ったり」

「いや待て」


せめて囮と言え。いや、囮も遠慮したいが。


「後は…そうだなぁ……ちょぉおっと、一人じゃ入れない場所に付き合って貰ったりとかさ」

「一人じゃ入れない場所?」


ってどこだ。

訝しむ純に、泉流は意味ありげな笑みを向けた後、爆弾発言を投下する。




「ラブホ」

「ゴチソウサマデシタ!」


――ガタタン!

勢いよく席を立つ純。

そしてそのまま自分の脇を通って立ち去ろうとした彼女を、泉流は素早く足を掛けて留めた。

ビタンと、痛々しい音と共に地面へとめり込んだ純は、しばらく痛みに悶えて動けなかった。


「やだ~、純ちゃんってばやぁらしぃんだ~。ナニ想像しちゃったの~?」


どこのJKだよ!!

上から降ってくる明るい声が盛大に神経を逆撫でする。頼むから誰かこいつを逮捕してくれ。
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