くるきら万華鏡
友情より愛情
「有坂皆人(ミナト)の彼女になった。」
お昼休み、お弁当のウィンナーを頬張りながら、奈緒が何でもないことのように、ボソリと呟いた。
思わず私は、自分の口元まで運んだ卵焼きのことなどすっかり忘れて固まった。
「今、何て?」
気の抜けた、なんとも間抜けな声しか出てこない。
「だからぁ、『皆人の彼女になった』って。たまご、食べたら?」
聞き間違いではなかった。
卵焼きを弁当箱へ戻して、箸を置く。
奈緒… あなたは、私の親友ではなかったか?
私の気持ち、知っているのではなかったか?
机を向かい合うようにくっつけて、奈緒と対面していたことを後悔した。
嫌でも奈緒を睨み付けてしまう。
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