くるきら万華鏡


 授業終了のチャイムで目覚めた有坂くんは、


「しまったぁー! 俺の分泌物で、芸術作品を濡らしてしまった!!」


 汚そうにその『芸術作品』を、人差し指と親指でつまむように持ってヒラヒラさせながら、有坂くんは口惜しそうに叫んだ。


 率直に『よど』って言えよ、と突っ込みたくなるも、その価値を失った『芸術作品』、私にくださいと、心の底でおねだり。


 私ってば… 変態…


「あげる。」


 有坂くんがそう言ったと同時に、その分泌物で駄目になってしまった(!?)『芸術作品』が、私の机の上にヒラリと落ちてきた。


「いらない」


 慌ててそれをつまんで、投げるように有坂くんの机の上に返却。


 この場合、女子高生の模範的対応としては、これが一応正解であります。




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