くるきら万華鏡
大人の香り


 英語教師の諸井先生は、推定年齢20代後半の大人の女性。


 毎日、明るめに染めた長い髪をくるくる巻いて、化粧もいつも原型がわからないほどバッチリ。


 豊満なボディが引き立つような、教師らしからぬ露出度高めのタイトな衣服を常に身に纏い、彼女が傍を通ると、きつい残り香で頭がグラグラする。


 はっきり言って、好きじゃない、むしろ嫌い。


 未だ独身の彼女は、ココの卒業生と付き合っているとか、どこぞやの青年実業家と婚約しているとか、色んな噂が飛び交う中、それでも有坂くんのことが大のお気に入りで、有坂くんの隣の席になった女子への執拗な嫌がらせときたら陰湿極まりない。


 残念ながら、私も例外ではなかった。


 心配しなくても、有坂くんが私なんかを相手にする訳がないのに、ただ、有坂くんの傍で授業を受けているというだけで、彼女の嫉妬心は猛烈に燃え上がるようだった。


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