くるきら万華鏡
 諸井先生は、ワナワナと震えだし、しばらく怒りを静めようと奮闘していたが、その甲斐有ってか、ふぅ~と大きく息を吐いて呼吸を整えると、急に身を翻して教壇へと戻った。


 そして、何事もなかったかのように授業を始めたのだ。


 クラス全員の前でたった今大恥をかかされたというのに、諸井彩芽(アヤメ)、恐るべし。


 そして…


 有坂くんが… 近い… 正に至近距離。


 心臓くんよ、落ち着け! 夜になったら思う存分暴れさせてあげるから、どうか、この場は静まってくれ。


 私がそんなことを考えながら、落ち着きなくモゾモゾしていると、


「何やってんの?」


 有坂くんが、左肘を机につき、その手に頭を載せて私を不思議そうに眺めていた。


 益々エンジン全開の心臓くん。


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