くるきら万華鏡
 が、今回に限っては、何故か突然、カッと目を見開いた。


 しまった、完全に油断した。


 慌てて目を逸らし、そ知らぬ顔で板書をノートに写し始めた。


 有坂くんが、ゆるゆると上体を起こすのが視界の隅に入る。


「多恵ちゃん、今俺のこと見てただろ?」


 有坂くんにそう言われ、思わずギクリと身震いし、恐る恐る有坂くんへと視線を移す。


「俺の寝顔がいくら可愛いからって、駄目でしょ? プライバシーの侵害です。」


 有坂くんは左肘を机に引っ掛けるようにして上体をこちらへ向け、悪戯っぽく笑っている。


「見てないし。」


 私は慌てて否定した。


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