くるきら万華鏡
帰りのホームルームが終わり、一郎さんが教室を出る直前、立ち止まって思い出したように振り向くと、私に向かって言った。
「ああそうだ、平澤、椅子の片付け頼む!」
「ええー!3つもー?」
私は不満げに言い返す。
だってそうでしょ? 椅子は三脚もあるのに一郎さんは、か弱き女子に一人で運ばせるの?
「ああ、そっか。いいや俺がやる。」
そう言って、前から教室を出て廊下を歩き、後ろから再び教室に入って、一郎さんは、後ろの出入り口付近に並べてあったパイプ椅子をたたみ始めた。