くるきら万華鏡
「何だよ? 言えよ。気になるだろ!?」


 すぐ隣を歩く有坂くんが、肘で私の腕を後ろから前に軽く突いた。


「何でもないって言ってんじゃん!」


 ちょっとムキになって拒む。


「俺たちの間に、隠し事はナシでしょ?」


「そんな契約、いつ交わしたのさ?」


「席が隣になった時点で、契約成立。」


 また悪戯っぽく有坂くんが笑う。


「有坂くんは… 歴代お隣女子みんなと、隠し事ナシの間柄?」


「多恵ちゃん、いつからそんな憎たらしい事言う子になったんだよ!? オジサン、悲しい。」


 有坂くんはそう言って、大げさに肩を落として見せる。



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