くるきら万華鏡
 向かい合うようにして立ち尽くし、ほんの少しの間、私たちは睨めっこ。


 とうとう私が敗北した。


「あのさ、昨日、有坂くんはどうしてアイツラにやり返さなかったのかなって思っただけ。」


「ああ…」


 有坂くんはホッとしたような表情をし、進行方向を向き直り、再び歩き出した。


 私もまた、有坂くんと並んで歩く。


「怖かったからでしょ!?」


 人事のように有坂くんは答えた。


「嘘だ。」


「何その自信!? 嘘じゃないって。」


 有坂くんはまた可笑しそうに笑う。


 何が可笑しいんだか…


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