くるきら万華鏡
 すぐに奈緒とつながって、


『多恵?』


 気だるそうな、いかにも寝起きといった声が電話越しに聞こえた。


「奈緒、ひどいよ。今どこ?」


『え? 何が? ええっと、今…』


 奈緒が戸惑い顕わに口籠る。


『誰? 奈緒ちゃん大丈夫?』


 少し離れた場所から、奈緒を気遣うような男子の声がし、奈緒がその彼に向かって「シッ」と黙るように言う。


 奈緒は多分、立てた人差し指を口に当てていることでしょう。


「丸山くん? 奈緒、丸山くんと一緒なの?」


 私が問い詰めると、奈緒はすぐに認めた。


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