くるきら万華鏡
「それが… 全然辛くないんだよね。奈緒の言うとおりかも。俺、奈緒のこと好きじゃなかったんかなぁ。」


 皆人くんは、自分が傷ついてないことが… もしかしたら、奈緒のことが好きじゃなかったかもしれないことの方が、辛くて悲しいようだった。


 そんな皆人くんを見ていたら、私は胸が締め付けられて…


 気付くと身を屈め、自分の唇で皆人くんの口を塞いでいた。


 まるで小学生のような、真一文字のフレンチキスでした。


 我に返って、咄嗟に離れると、皆人くんは閉じていた目をゆっくり開いて私を真っ直ぐ見詰めた。


「多恵ちゃん、何をする?」


「ごめん。」


 私は恥ずかしさのあまり、そう言うとうつむいた。


 顔が燃えるように熱い。


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