くるきら万華鏡
「『キス』と、『オッパイもみもみ』」


 ほんの数秒前の出来事なのに、皆人くんは思い出せないようなので、教えてあげました。


 途端、顔を勢いよくこちらに向け、目を細めて私を睨む。


「彼女はどなたでしょうか?」


 皆人くんの物言いたげな眼差しは無視して問う。


「彼女は有坂家の家政婦のポリーナさんです。」


「え? 家政婦さん? ほんと?」


「うそ。」


 皆人くんは呆気なく白状した。


 え? ってことは、皆人くん、ハーフ?


 こんな日本人顔で? まぁ背だけは異常なほど高いけど…


「彼女が俺を、こんなにも立派な17歳に育ててくれました。ポリーナさん、ありがとう。あなたの偉業は決して忘れません。そして… 安らかに眠れ。」


 皆人くんは、祈るように両手を胸の前で組み、遠い目をして言った。



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