くるきら万華鏡
「『眠れ』って… ポリーナさん、『買い物行く』って言ってたし。」


「うるさい! お祈りの邪魔すんな!」


 意味不明なバカバカしいお祈りのために怒鳴られた。


「アーメン」


 と胸元で十字をきると、皆人くんは「よし!」と両手で両膝をポンと叩いて勢い良く立ち上がった。


 どうやら、訳のわからぬお祈りは、無事滞りなく終了したらしい。


「多恵ちゃん、ゲームやる?」


 またあの無邪気な微笑みを見せ、皆人くんが言う。


「やらない。」


「じゃぁ、俺がやる。」


 そう言って、さっき遊んでいたゲーム機を再び手に取った。


 私はのそのそとベッドから降り立ち、皆人くんに向かって言った。


「ねぇ、私、そろそろ帰るよ。お世話になりました。どうもありがとう。」


 色んな意味で。



< 88 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop