くるきら万華鏡
皆人くんについて行くようにして、階段を下りる。
皆人くんはリビングらしき部屋の扉を開けると、不意に立ち止まった。
私の頭は皆人くんの背中に激突した。
「何で急に…」
文句を言いかけたが、皆人くんが血相変えてこちらを振り向くので、言いそびれてしまった。
「多恵ちゃん、ちょっとここで待ってて。」
皆人くんはそう言うと、自分だけリビングに入って扉を閉めた。
「帰ってたのかよ!?」
皆人くんが誰かに話しかけている。
「ああ。朝食、冷蔵庫ん中だと。」
男の人の声だ。
随分低い、落ち着いた、クラッシック音楽のような心地良い声。
お父さんかなとも思ったけど、それにしては若い気がした。