くるきら万華鏡
「あんのおしゃべりゴージャスばばぁ、やっぱりだし。」


 皆人くんが悔しそうに悪態をつく。


「俺とこの子は何もねーよ。」


 美しい人を睨みつけ、皆人くんは言う。


「今時の高校生は、キスすることを『何もねー』って言うのか!?」


 その人は、さらに面白がって、クールに茶化す。


「だからそれは… とにかく俺たちは… 多恵ちゃんも黙ってないで反論しろよ!」


 とうとう行き詰って、皆人くんが助けを求めるように、突然私に振ってきた。


 私、芸術作品に見とれていて、それどころじゃないんです、バカ皆人くん。


「なんだよ? 多恵ちゃん、ボーっとして…。」


 皆人くんが不思議そうに私の顔を覗き込む。


 邪魔です、今だけは視界に入って来ないでください、芸術作品が一部欠けて見えなくなってしまいます。


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