くるきら万華鏡
哀愁の皆人


「多恵、本当にゴメン。」


 翌週月曜日、朝私が教室へ入るなり、奈緒がそう言いながら飛んできた。


「だからもういいってば。で? 奈緒、丸山くんとどうなっちゃったの?」


 解りきったことを、奈緒の口から言わせてやろうと思った。


 小さな仕返しです。


「丸山くんね、ずっと私のこと… で、こんなにも真っ直ぐに、誰かに想われるのって幸せだなぁって思って。」


 奈緒が照れくさそうに話し出す。


「でも、皆人くんと付き合ってなかったら、私、こんな風に思えなかった。こういう幸せ知らないままだった。だからさ、今、皆人くんには感謝してるんだ。」


 なんだかそれって… 悲しい感謝のされかたじゃない? こんなこと皆人くんが聞いたら…


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