夢幻(むげん)【完結】
「う~みゅ~……。遼平、ずるいよ」
遼平の腕の中にいる遥は、ぽそっと、小さな声で言った。
「ん? 何が?」
遼平は、遥の手を引きながら、歩き出した。
「だって、そんなにカッコイイし、犯罪ものなくらい良い声だし、性格も優しくて頼りになるし……」
「あはははっ。犯罪ものって! そんなことないだろ? それより、いきなり、そんな事、言い出して、どうした?」
笑いながら、遼平は続きを促す。
「あんな風に言われたら、逆らえないもん」
少し拗ね気味の声で言った。
「遥は逆らいたいの?」
「そうじゃないけど、兎に角、ずるい!」