舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「大丈夫か?」


外の階段に座らされ、私は頷いた。


膝がガクガクして、足に力が入らない。


一体何時間踊り続けていたんだろう。



「パドドゥ、みてもらいたかったな…」



てっちゃんと必死にレッスンに励んだパドドゥだけは、見てもらいたかった。


てっちゃんのチャンスを私がつぶすことになる。悔しくて涙が止まらなかった。


「奈々、どうしてお前のときだけ、演技をとめさせたかわかってる?」


「…わからない」


「そうか。俺はわかってるけど、言った方がいいか?」


カズさんは私の隣に座り私の顔を覗き込んだ。


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